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大学別対策

慶應文学部の小論文対策|課題文の理解と自分の考えをどうつなぐ?

2026-09-07

慶應文学部の小論文は「要約」と「意見」の二段構成で考える

慶應文学部の一般選抜では、外国語・地理歴史に加えて小論文(論文テストと呼ばれる科目)が課されます。複数の予備校・指導機関による分析では、試験時間は90分、配点は100点(外国語150点・地理歴史100点と合わせて350点満点)とされており、出題は一つの課題文に対して、内容を要約する設問と、それを踏まえて自分の意見を論じる設問の二問構成になっているという点でおおむね一致しています(具体的な指定字数は年度によって変動があるため、出願年度の最新の募集要項・過去問で必ず確認してください)。

この時点で押さえておきたいのは、慶應文学部の小論文は「自由に意見を書く作文」ではないということです。課題文をどれだけ正確に理解できたかが前半の要約で問われ、その理解を土台にして自分の考えをどう展開できるかが後半で問われる、いわば二段構えの試験です。どちらか一方だけを鍛えても得点は伸びません。

課題文は人文科学系の抽象度が高いテーマが多い

文学部の課題文は、言語・文化・自己と他者・社会と個人といった、人文科学的な抽象度の高いテーマが選ばれる傾向があると複数の分析記事で指摘されています。具体例で理解できるテーマだけでなく、「自由とは何か」「他者を理解するとはどういうことか」のような、答えが一つに定まらない問いが扱われることも珍しくありません。

このため、次の力が同時に求められます。

  • 抽象的な文章でも論の骨格(主張・根拠・具体例の関係)を見失わずに追う読解力
  • 抽象的なテーマについて、自分なりの具体例や経験に引き寄せて考える思考力
  • 限られた字数の中で、要約と意見論述それぞれの役割を過不足なく果たす文章構成力

普段の現代文学習が「本文の要旨をつかむ」ことに偏りがちな受験生ほど、後半の意見論述で手が止まりやすいので注意が必要です。

要約で失点する受験生の共通パターン

要約は「課題文の内容を短くまとめるだけ」と軽く考えられがちですが、実際には減点されやすいパターンがはっきりしています。

よくある減点理由

答案の特徴何が問題か改善の方向性
具体例やエピソードをそのまま縮めて書く筆者の結論・主張が要約に入らない具体例は「何を示すためのものか」を一段抽象化して言い換える
課題文の一文一文を順番になぞる文章全体の論理構造が反映されない「問題提起→論証→結論」など構造を意識して骨格を抜き出す
自分の解釈や評価を混ぜてしまう要約なのに意見が先取りされている要約は「筆者が何を言っているか」に徹し、評価は後半の意見論述に回す
課題文中のキーワードをそのまま羅列するつながりのない単語の寄せ集めになるキーワード同士の関係(対比・因果・言い換え)を自分の言葉で接続する

要約でありがちなミスは、「短くする」ことと「まとめる」ことを混同してしまう点にあります。要約とは、文章の分量を減らす作業ではなく、論理構造を抽出する作業だと捉え直すことが、最初の改善ポイントです。

課題文の理解を意見論述にどうつなげるか

多くの受験生がつまずくのは、要約はそれなりに書けても、意見論述になると課題文と関係のない一般論を書いてしまう点です。慶應文学部の小論文で評価されるのは、「課題文の主張を正しく理解した上で、それに対して自分はどう考えるか」という一貫した流れです。

つなぎ方の基本は、次の三段階で考えると整理しやすくなります。

  1. 課題文の主張を一文で言い直す(要約の結論部分と重なる内容でよい)
  2. その主張に対して、自分は賛成・部分的に賛成・別の視点を提示するのいずれの立場を取るかを明確にする
  3. 立場を裏づける具体的な根拠(自分の経験・具体例・別の角度からの考察)を挙げる

答案構成の例(架空のテーマ「対面でのコミュニケーションの意義」で作成した練習用の骨子であり、実際の過去問ではありません)

【要約部分】筆者は、オンラインでのやり取りが普及した現在も、対面コミュニケーションには言葉以外の情報を伝える独自の価値があり、それは効率化では代替できないと主張している。

【意見部分】この主張には基本的に同意できる。ただし、対面が常に優れているとは限らず、意見を言いにくい相手との関係では、あえて距離を置ける非対面の形式が対話を可能にする場合もある。したがって重要なのは形式の優劣ではなく、目的に応じて手段を選び分ける視点だと考える。

この例のように、意見論述の冒頭で課題文の主張とどう向き合うか(同意・部分同意・異なる視点)を明示してから根拠を展開すると、読み手に「課題文を理解した上での意見だ」という印象を与えやすくなります。

答案作成の実践的な進め方

普段の演習では、いきなり書き始めるのではなく、次の手順を踏むと要約と意見のつながりが安定します。

  • 課題文を読みながら、主張・根拠・具体例に印をつけ、種類ごとに区別する
  • 要約を書く前に、「この文章が一番言いたいことは何か」を一文でメモしてから書き始める
  • 意見論述に入る前に、要約でまとめた主張を見返し、自分はどこに賛成し、どこに疑問を持つかを箇条書きで整理する
  • 時間配分を決めて演習する(読解・構成に時間を使いすぎて意見論述が尻切れにならないよう、書く時間を確保する)

特に時間配分は見落とされがちですが、90分という制限時間の中で読解・構成・執筆をすべて行う必要があるため、過去問演習を通じて自分なりの時間配分の目安を作っておくことが実戦力につながります。

まとめ

慶應文学部の小論文で安定して得点するためには、要約と意見論述を別々の作業として捉えるのではなく、課題文の理解(要約)を土台にして自分の考え(意見論述)を積み上げる一つの流れとして練習することが欠かせません。要約では筆者の論理構造を過不足なく抜き出すこと、意見論述では課題文の主張に対する自分の立場を明確にしてから根拠を示すこと――この二点を意識した演習を積み重ねていけば、課題文とかみ合わない答案から着実に抜け出すことができます。

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